【役員運転手の労働時間】長時間労働の問題点と解決策
2021.10.06
役員運転手は会社の社長や役員を目的地まで送迎することが仕事です。
忙しい役員に合わせて動くため、時間外労働や休日出勤など労働時間が長くなりがちです。
役員運転手の待機時間もれっきとした労働時間となるため、拘束時間もかなり長くなります。
しかし長時間労働には以下のようなさまざまな問題点があります。
【長時間労働の問題点】
①36協定の遵守が困難
②ドライバーの健康面
③給与が高額になる
ここでは、役員運転手の長時間労働で起きる問題点とその解決方法をご紹介します。
役員運転手の労働時間でお悩みの方は必見です。
Contents
1. 役員運転手の労働時間
一般的に役員運転手は長時間労働だと言われます。
担当する役員にもよりますが忙しい役員の場合、夜は取引先との会合、休日は接待ゴルフと昼夜問わず活動しています。
その役員を担当するドライバーが長時間労働になるのは当然のことです。
しかし最近は働き方改革の一環で時間外労働に罰則付きの上限が設けられるなど、長時間労働が出来ないような法改正がされています。
働き方改革と役員運転手に関して詳しくはこちら
→「働き方改革で役員運転手の仕事はどうなる⁉罰則を受けないための4つの対策」
とはいえ役員運転手の業務は拘束時間こそ長いものの待機時間もあり、どこからどこまでが労働時間に当たるのか不透明に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
1-1. 役員運転手の1日
ここで役員運転手の一日を見てみましょう。
8:00 出社 車両点検・役員宅へ出発
8:30 役員宅到着
8:40 役員宅出発
8:50 会社到着
9:00 車両清掃
10:00 待機
12:00 休憩
13:00 役員を乗せて取引先へ出発
13:30 取引先到着 待機
15:30 取引先出発
16:00 会社到着 以降待機
17:30 役員を乗せて役員宅へ出発
17:40 役員宅到着・会社へ出発
17:50 会社到着 車両点検 日報作成
18:30 退社
この場合の就業時間(始業時刻から終業時刻までの時間)は、10時間30分。
そのうち休憩は1時間です。
では5時間30分ある待機時間は、どのような扱いになるでしょうか?
1-2. 役員運転手の労働時間はどこからどこまで?
役員運転手が出社してから業務終了までは、運転や車の清掃をしている時間以外に「待機時間」と「休憩時間」があります。
ここで「待機時間」も休憩時間になるのでは?と考える方もいるでしょう。
しかし待機時間は休憩時間とはまったく違います。
休憩時間とは食事をするために外出もできるような、一切仕事をしなくてもよい時間です。
しかし待機時間はいつ何時スケジュールが変更になり、出発するか分からない状況で、車内や待機所で待っている時間のことをいいます。
待機時間に自由に社外へ出かけるようなことはできません。
たとえばショップ店員が、何もせずにお客様を待っている時間が労働時間になるのと同じことです。
つまり役員運転手の労働時間は「就業時間-休憩時間」という一般的な労働者と同じと考えられます。
2. 役員運転手の長時間労働の問題点
労働基準法では、労働時間は「1日8時間、1週間40時間以内」と規定されています。
この時間を過ぎて労働させる場合は36協定を締結し、労働基準監督署への提出が必要です。
また時間外労働は「1ヶ月45時間、1年360時間」と上限が決められており、これを超えた場合罰則があります。
役員運転手が長時間労働になった場合、36協定だけでなくさまざまな問題が考えられます。
ここで問題点をまとめておきましょう。
2-1. 36協定の遵守が困難
多くの会社で役員運転手には代わりがいません。
そのためどんなに長時間になったとしても、ほかの誰かと交代するわけにはいかないのです。
36協定で時間外労働の上限が定められたことで、頭を悩ませている経営者の方も多いのではないでしょうか。
2-2. ドライバーの健康面
長時間労働で心配なのは、ドライバーの健康面です。
疲労が蓄積し、腰痛のような職業病や体を壊してしまうことも考えられます。
代わりがいないため、有給をとりにくいことも問題です。
また役員運転手が寝不足になってしまうと、居眠り運転の心配も出てきます。
長時間労働が日常になっている場合は、早めに解決策を見つけたほうがよいでしょう。
2-3. 給与が高額になる
雇用する側の心配事としては、時間外労働が増えることで給与が高額になることが挙げられます。
待機時間が長い割に給与が高額になることに不満を感じる役員や社員もいるかもしれません。
これらの問題点を解決するために、早急に役員運転手の労働時間の改善を行う必要があります。
3. 役員運転手の労働時間を改善する方法
では役員運転手の長時間労働を改善する方法を考えてみましょう。
改善策は長時間労働自体を継続する方法と、長時間労働にならないようにする方法があります。
3-1. 断続的労働の適用除外制度
「断続的労働の適用除外制度」とは、マンションの管理人や宿舎の寮母など継続的に待機する必要のある人などに適用される制度です。
こういった仕事につく方は、仕事はしていないけれど待機している時間が長くなり、労働時間が非常に長時間です。
そのため36協定を適用せず、「断続的労働の適用除外制度」を活用します。
この制度が適用されると、「労働時間」「休憩時間」「休日」の概念がなくなります。
そのため通常これらに対して支払われる賃金も発生しません。
「断続的労働の適用除外制度」は、労働監督署に書類を提出し受理されることで活用できます。
ただしいくつかの規定があり必ずしも認められるとは限りません。
また役員運転手への負担が軽減されるわけではないため、完全な解決法とは言えないでしょう。
→詳しくはこちら
「役員運転手が『断続的労働の適用除外制度』に申請する条件と方法とは?」
3-2. 役員運転手を増員する
もう一つの方法は、「役員運転手の人数を増やす」方法です。
現在の役員運転手を正社員として残すのであれば、時間外に当たる部分だけパートタイムや派遣のドライバーを雇う方法が考えられます。
もしくは正社員をなくし、2人の役員運転手の1日ごとの交代制で雇用するといったこともできます。
人数が増えた分会社の負担も増えますが、36協定・ドライバーの健康面どちらも解決できる方法です。
特に派遣の役員運転手であれば、スキルのあるドライバーを派遣してもらえるうえに、採用にかかる時間と手間も省けます。
ただし会社によっては、短時間の派遣ができない場合もあるため、契約方法だけは確認しておきましょう。
都内であれば「セントラルサービス」がスポット契約も受け付けている上に、研修制度が充実しているためおすすめです。
4. まとめ
役員運転手の労働時間は、待機している時間も含まれます。
時間外や休日出勤も多いため、長時間労働になりがちです。
しかし36協定で時間外労働の上限が定められたことにより、労働時間の改善が必要です。
長時間労働には、36協定以外にもドライバーの健康面や給与面での問題も上げられます。
改善方法としては、「断続的労働の適用除外制度」を適用する、もしくは「役員運転手の増員」といったものが考えられます。
できるだけドライバーの負担にならないような方法で対応するようにしましょう。